なぜライトノベルの活字は小さいのか

映画配給会社の営業努力が俗流若者論にすり替えられてしまった話という記事。本論は映画の字幕の話なんですが、それはそれとして文庫本の活字サイズが大きくなっているのにライトノベルの活字は小さいままだという話。

これは確かにその通りで、岩波文庫なんかも大きくなってますよね。たまに復刊や古本を買うと活字が小さくて逆にびっくりするぐらいです。というか、一部やけに小さくて読めなかったりしますが。で、ライトノベルの活字が小さい理由。y-arim氏が指摘しているように、若者相手だから文字を大きくする必要がないというのは当然あるわけですが、もう一つ重要な理由があると思います。単純明快な話、活字を小さくすれば本が薄くなるんですよね。

ソースを失念してしまったんですが、どこかの作家の人か何かのブログで、同じ値段ならば分厚くてボリュームのある本がいいという考え方は間違いで、薄くて短いもののほうがいいんだということを書いていたんですよね。その方が読者に手にとってもらえる、と。新書が高い割に薄いのもその辺の理由があるということなのでしょう。で、ライトノベルにおいても同じことが当てはまる。ページが少なくて薄い本の方が手にとってもらいやすいから活字を小さくしてページを少なくするのではないかと。ライトノベルの売り上げはだいたいイラストで決まるという話もありますから、見た目の印象はかなり大事でしょう。

少し話は変わりますが、この世の中にはどこの出版社から発売されても一行の文字数・1ページの行数・総ページ数が変わらない小説があります。ジェイムズ・ジョイスの『Finnegans Wake』ですね。この小説には造語や言葉遊びを中心としてあらゆる仕掛けが張り巡らされているので、ページ数などが変わることによって本文の意味が変わってしまうかもしれないというのがとりあえずの理由。全628ページというページ数自体にも何か意味があるんでしょう、3.14ですし。もちろん、翻訳はその限りでは無いわけですが、これはこれで大変というかアレだなぁ、とは思うわけです。

(2008/05/11)

コメント

>薄くて短いもののほうがいいんだということを書いていた
これとおなじことを書いていたのは、森博嗣さんでした。ちなみに、MORI・LOG・ACADEMYという今やっているブログにあったと思います。

>ジェイムズ・ジョイスの『Finnegans Wake』ですね。
これをbmpさんがチラっと書いてあるのをよむたび、買いたくなるのですけど・・「ダブリン市民」と、どちらから読もうか悩んでいます。

それこそ分厚いからですけど。初作家ですので、うすいほうから読んで、気に入るかどうかサクっと計るか。本領っぽい分厚いものを読んでいくか・・

[絶対小杉]

情報どもです。
というか、ああいうことを平然と書く小説家のブログってあまりないですからね、確かに。ちょっと該当記事探しておきます。

で、ジョイスの方ですが、『フィネガンズ・ウェイク』と『ダブリン市民』は全然違うたぐいの小説なのでどっちから読んでも大差ないですね。
両方から少し引用して比較してみますが、『ダブリン市民』は「貧乏司祭か貧乏俳優という身なりの男が戸口に姿を現した。小柄な体に黒い服のボタンをぴっちりとはめている」みたいな感じでごく普通の小説の体裁です。一方で『フィネガンズ』は「なあ妹よ、とジョーンはいいそえ、いくちっとばかり陰気な雑声、それでもない結高ふぁリューっトして、彼女に背をむけてそれの機嫌をとり、河合酔目易本を山葉っぴろげにして符記を譜点を伝え(以下略)」みたいなアレですから、『ダブリン市民』が気に入ったとして『フィネガンズ』が読めるかというとなかなか。
どうせなら『フィネガンズ』から『ユリシーズ』・『若い小説家の肖像』・『ダブリン市民』とさかのぼっていくのもおすすめですね。今はどれも文庫で手に入るいい時代なので。

[bmp_69]

フィネガンズ、すごいですね。意味不明なところ、造語ですよね?河合酔目易本、河合ってどっから訳したんだろう。まあそれはともかく、死靈と系統が似てるんですかね。あんな感じが永遠、詩のようにつづくって感じですかね。読んでみようかな。ぼくはこーゆう難解なものから逃げてきたというか、軽蔑しながら生きてきた気がしますし。これを機会に。こーいうことは言いにくいですが、たとえば、吉本隆明さんとか、中沢なんとかさんとか、なかなか難しい言葉で書いてあるわけですが、どう読んでももっと簡単な言葉で説明できるんですよね。自分をギンギラの宝石で飾りたてるように、自分を頭よくみせようとしているのが、明らかなんですよねぇ。対談を読んでみれば、その、頭をよく見せたいって感じがさらに出ていますし。とにかく、難しく書く人にろくな人間はいないし、そのまた全然おもしろくない、というのがあったので敬遠してきました。とにかく、フィネガンズの紹介ありがとうございました。

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追伸 それでも吉本隆明さんには、ときどき好感を持っちゃいます。

[絶対小杉]

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