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2005年06月23日

遠い過去と遠い未来をつなげるために

って、ヒカ碁かよ、って感じなんですが、いい感じにぱすチャCにも飽きてきたんで、スタニスワフ・レムのことでも書こうとか思ってたら海燕氏のサイトとかその周辺でちょっとした論争みたいなのが起こっているのでその辺を枕にしてみようかと。

論争の内容は大雑把に言うと、ライトノベル読者はSFを読まないという話。こういうのは読みたい人は読むだろうし読まない人は読まないだろうという感じで、別にそれで十分じゃないかという感じはします。和歌とか叙事詩とか戯曲の歴史を拾うのは膨大すぎて物理的に不可能ですが、SFはメアリ・シェリーみたいなゴシックロマンスにまでさかのぼっても200年も歴史がないですし、ライトノベルなんか新井素子が20年前ですからね。主要な作品を拾うだけなら難しくもなんともない気もします。わざわざさかのぼらなくてもそれらの作品の遺産を必然的に引き継いでいるし、これからも引き継いでいくだろうとは言えるのではないですかね。まあ、私はライトノベルは一切読まないので完全に他人事です。

んで、レムの話。ポーランドにスタニスワフ・レムという作家がいます。SF作家であるとともに、前衛的な芸風の現代作家としてもそこそこ知られてます。んで、去年あたりから「レム・コレクション」と題された選集のシリーズが出ている。既存の翻訳がロシア語からの重訳なんかだったのに対して、このシリーズは原語のポーランド語からの直接の翻訳がなされているというのがウリ。

私が最近読んだのは彼の代表作である『ソラリス』です。ソラリスという原形質の海みたいな生物か何かわからないものがある星にいった主人公が、奇妙な来訪者の訪問を受ける、と。その正体も意図も実際のところよくわからないんですが、どうやら主人公の思考をスキャンして、トラウマになっているというか大事な人を、その記憶から再構成しているらしい。主人公にとってそれは昔ふとしたいさかいで自殺させてしまった元恋人だった、と。

早川版を昔に一度読んでいて、今回は久しぶりに再読したわけですが、今回強く思ったのは、他者性というやつですか。ソラリスには主人公以外にも二人の研究者がいて、彼らにも主人公にとっての元恋人のような訪問者が来ているわけなんですが、それが誰だかは結局最後までよくわからない。作品は主人公の一人称なので、必死に隠し通されてるので知る由もない、という話。もちろん、ソラリスの「海」の考えてることも主人公にはさっぱりわからないわけで、それも理解不可能な「他者」として主人公の前に姿を現す。レムは方法に関して意識的な作家ですから、もちろん、二人の研究者の相方のことなんかは、意図的に分からないということにしているわけです。元も子もない書き方をすれば他人の考えてることなんかわからないという話なんですが、この辺は結局、西洋近代的なインデペンデントな自意識という考え方、まあ個人主義というやつを背景としているんですかね。他者が他者として顕現するのは個人としての自己があるのが前提ですから。

何か取り留めない上に結論もないですが、そんな感じで。

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