雫
- タイトル
- 雫
- ブランド
- Leaf
- 発売日
- 1996年06月28日
- 評点
- 9/10
- 更新日
- 2003年09月29日
リニューアル版が出るらしいので今のうちに一回レビューを書いておきます。
システムはまあしょぼいです。回想なんてありません。CGモードも使いづらいし。ボイスはなし。音楽はよいですね、今更語ってもしょうがないくらいに有名です。んで、シナリオ。主人公は日々の怠惰な生活に飽きた若者です。そんな彼は世界の崩壊などを夢想しながら退屈な授業を受けていたんですが、突然クラスの女の子が発狂するという事件が起こる。普段から狂気に対して憧れを持っていた彼は、一足先に狂気の扉を開けてしまった少女に親近感を持ったんですが、都合がいいことに彼は事件の調査をすることを依頼され、狂気の扉の向こうを垣間見る機会を与えられます。それで、女の子を一人選んで深夜の学校に乗り込んでいく、という話。
ヒロインは三人。一人目は発狂した香奈子の親友である瑞穂です。彼女は発狂し昏睡状態にある親友のことを想い主人公と共に乗り込むことになります。彼女のシナリオにおいて焦点を当てられるのは常に瑞穂と香奈子の友情であり関係性であります。オルゴールのエピソードなんかべたべたでしたけれど、瑞穂の香奈子への想いは常に真摯でしたから強く胸を打つものがありました。二人目は沙織。彼女は部活のあとに怪しげな人影を見たので主人公と話すことになり、持ち前の好奇心から事件に首を突っ込むことになります。彼女は基本的に明るく快活なキャラですね。全体に陰鬱な雰囲気の漂う作品の唯一のオアシスとも言える存在でした。三人目は瑠璃子です。「長瀬ちゃん…電波とどいた?」というセリフがあまりにも有名であり、この作品の中核に存在する人物です。全てを包み込むような母性と白痴のような微笑みを併せ持つ不思議な少女。その心の奥底には決して癒されぬ傷跡と流れ続ける涙の雫、そしてそれでもなお断ち切れぬ愛情と絆がありました。
ゲームとしては選択肢によって分岐する普通のノベルです。テキストはまんま小説のそれですね。主人公の視点によって心理描写や情景描写を中心に物語られる形。エンディングはハッピー・トゥルー・バッドなど複数あり、結構インパクトのあるものが多かったです。いわゆる「ハサミエンド」とか「トースターエンド」ですね。この作品は「狂気」を重要な主題としていて、その暴力的な行使にも一切妥協はありませんでした。また、現実から狂気へと足を踏み入れようとする主人公の心理の問題を追うシナリオと、月島兄妹を中心とする事件の解決を追うシナリオの二つの軸によって構成されていて、ゲーム内時間としては僅か一日でしかない短いシナリオも複数の層によって厚みが増されていました。瑠璃子ルートでいきなり主人公が超人になって少年漫画張りのバトルシーンを繰り広げ始めたときにはどうしようかと思いましたが。
印象に残っているのはやはり瑠璃子のトゥルーエンドですかね。月島兄妹の問題から始まった事件は当然のごとく、また彼らを中心に閉塞していく。狂気に満ちた宴と事件の根底には常に深い哀しみがあり、それは彼らの心象風景でもありました。空虚で哀しい閉塞した二人だけの世界でも彼らは満ち足りていたのだし、またその世界に戻っていくことで物語はあり得べき形に収束する。彼らは「壊れ」てしまったけれどそれでも幸せであったのでしょう。
んで、エロ。CGはまああれですね、かなりやばい水準です。癖強いし、綺麗じゃないですわな。ただ、Hシーンに関してはかなりいい感じで描けてます。四つんばいになって指で性器を広げてる瑞穂とかかなりエロい。シチュは凌辱というか月島の電波で無理やりなのが殆どで主人公とヒロインの和姦が少しといった感じ。女の子同士の絡みが結構多かったのが特徴ですかね。首謀者の月島は基本的に見てるだけでした。少しだけある和姦は愛が通じてとかそういう感じでは全くないですね。というか、この作品には恋愛とかそういう要素は全然ありませんから。テキストはかなり良好。ノベルの叙述の形式も相まってかなりねちっこく書かれています。アナル関係はありませんでした。
総評。ボリュームはかなり少ないけれど凝縮されたシナリオが見事な名作。Hシーンがちゃんとエロいのも好印象ですな。リニューアル版はどうなるんでしょうかね。フルボイスでCGも全部変わっちゃうみたいですが、雰囲気が崩れてなきゃいいなぁ。
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