屍姫と羊と嗤う月
- タイトル
- 屍姫と羊と嗤う月
- ブランド
- BaseSon
- 発売日
- 2003年08月29日
- 評点
- 6/10
- 更新日
- 2003年09月09日
衝撃的なエンディングの体験版で話題を呼んでいたこの作品。まあ、個人的には触手目当てで買いました。
システムは問題ないですね、軽快で使いやすい。ボイス・音楽も基本的に悪くないですが、エンディングの歌が最悪。かなり下手糞です。んで、シナリオ。体験版をやった者としてはやはり叶子シナリオの続きが気になるわけですが、まぁ、おおよそ予想通りの展開。輪姦された上に、その犯人を殺しちゃった叶子の壊れた心を癒すという話ですね。メザマレクの石が恐怖のみによって発動するのではないという落ちもあからさまでしたね。全然ひねりなし。ただ、その結末に至る登場人物たちの心理は丁寧に追われていました。作品前半はにぎやかな学生生活が魅力的に書き出されていて、読む側としては退屈であることも多いちょっとした日常も、明るい叶子と巳継がひっかきまわしてくれました。付き合い始めてからの初々しい篤志と叶子も好ましかったです。だからこそ事件の衝撃は大きいものでした。この騒ぎにおいて叶子は人外の連中の戯れに巻き込まれた被害者でしかないんですよね。本人には全く責任なし。そして、その不条理は叶子をより深い絶望と虚無感の底にいざなう。絶望し死を望みそれすらも叶えられない叶子の苦しみ、そしてそれを乗り越えて生きていくことを選ぶ二人の姿は『お約束』とはいってもやはりよいものでしたね。
その他のシナリオについては軽く。唯緒のシナリオは典型的な人外との恋。最初は無愛想だった唯緒が徐々に心を開いていき、最後には完全にラブラブになる過程はいい感じでした。あとの、明星、花のシナリオは全然上の二つと雰囲気違いますね。基本的に終始まったりとしたムードで進み、伝奇物であることを忘れてしまいかねないほどです。一応、二人ともそれなりの問題を抱えてはいるわけですが、いまいちよくわからないままに解決してエンド、みたいな。消化不良というか物足りない感じが残ります。正直、伝奇っぽい設定にしなくてもよかったじゃんか、とか思ったり。
んで、エロ。読み物系なんであまり期待してなかったりはしたんですが、伝奇だし、触手だし、ということで。そのお目当ての触手シーンは全部で三つ。朋絵のやつはともかくとして、残り二つはどうでもいい脇役でしたね、残念。朋絵のシーンは短く、残り二つについても責められてる途中から始まったりするのでいまいち。テキストはまあまあかなぁ。特に印象に残るほどではなかったですが、気持ち悪いけど感じてる様子はよく書けていました。
叶子の輪姦シーンですが、これはよかった。暴力と恐怖に屈服していく叶子の心理が丁寧に追われていて、久しぶりにぞくぞくするほど興奮しましたね。行為の描写自体はやや淡白ですが、文句なしでエロかったと思います。あとは和姦がいくつかありますが、尺も出来も並くらい。アナルは輪姦のサンドイッチくらいかな。あとはショタがありましたが、好みじゃないのでノーコメント。CGはどうでしょう。個人的にはあんまり好みじゃないですけど、きれいだとは思います。ただ、夜のプールで唯緒とセックスするシーンのあの唯緒の表情はちょっとトラウマになりそうです。
総評。微妙な作品。心理描写や物語の構成はしっかりしているけれど、詰めが甘い。伝奇としては中途半端な感が否めないですね。私は基本的に設定を山のように詰め込んだものよりも比較的シンプルな仕掛けで読ませるものを好みますが、これはちょっと物足りない。もっと設定で遊んでもよかったんじゃないかな。これじゃ伝奇設定を他の適当で現実的な設定に入れ替えてもほとんど変わらない気がする。エロに関しては叶子のあれだけかな、よかったのは。結局、叶子の印象だけが強く残った作品でした。体験版の印象そのままといった感じ。
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